2020.10.08

チャイルドケアの様子

オブザベーション(子供の観察記録)

オーストラリア保育留学


Observation オブザベーションって何?

オブザベーションとは、『毎日の子供の成長を観察して記録すること』を意味します。オーストラリアでは、先生一人一人がオブザベーションに対して必要な知識を持っていることが重要視されます。オブザベーションは、子供の能力や興味、何ができる可能性があるのか見極めるために非常に重要です。
 
クラスの中でオブザベーションを担当する先生が決まっていたりする場合もありますが、基本的には子供たちと接しているとき起こった出来事でオブザベーションの材料になりそうなことはすべて記録していきます。
 
オーストラリアのチャイルドケアセンターでは、アプリを活用して、子供のオブザベーションをはじめとする情報を一括管理しています。
子供の1日の様子を写真や動画で保護者にシェアする事もできるので、どのセンターでも積極的に使われています。
 

オブザベーションの目的

オブザベーションは、日常に取り入れることで、子供たちが自発的にどのように周囲と関わっているのか、どのようなことができるのか、興味があるのか、がわかるのでとても有効です。
 
オブザベーションの目的は

  • カリキュラムを作ること。(子供の興味のあることを見極める)
  • 子供の成長を見届けるため。
  • 子供にどんな能力があるのか見極めるため。
  • 家族に、子供がどんなことを学んでいるのか知らせるため。
  • 子供の能力を伸ばすための計画を立てるため。(いつ、どこで、どのようにアクティビティをするのか決める。)

があります。
 

オブザベーションの方法

6つの成長を中心に観察していきます。

1. Social:他の子供や大人との関わり方。
2. Emotional:感情表現の仕方。
3. Cognitive:論理的思考の使い方。
4. Physical:身体能力。
5. Language:言語能力。
6. Literacy & Numeracy:文字や数字を実生活の中で使う能力。

 
オブザベーションは子供を客観的に観察するものです。「子供が何をしているのか」「周囲とどのように関わっているのか」「何を言ったのか」に注意を向けることが大切です。子供の声が聞こえ、何をしているのかが見える距離で、子供の邪魔をしない場所で行います。
 
 
記録する際は、以下のようなことに気をつけます。

  • 実際に起きたことのみを書く。
  • 子供の生の声をそのまま書く。
  • 個人的な意見や主観は省いて客観的に詳細を説明する(例:サラはクマのぬいぐるみを机の上に置き、スプーンを持ってクマに食べ物をあげるフリをした。彼女は「おいしいご飯だね」と言った。)
  • 批判的な書き方を避けて、ポジティブな記述を心がける。(例:サラは少し乱暴にクマのぬいぐるみをトムの手から奪い取った。→サラはクマのぬいぐるみを手にとり、これは自分のものだと言うことをトムに主張した。)

 
 
そのオブザベーションによって一体何がわかったのか、そしてどんなことを次に行うべきかを見極めて、子供の遊びや行動に意味を持たせ、理解を深めていきます。
Early Years Learning Framework(オーストラリアの幼児教育学習の枠組み)の学習成果に当てはめていく方法が一般的です。
 

記録方法は3種類

1. Anecdote:基本的に子供が自発的に行った出来事を記録するのによく使われる。過去形で記載。写真はつける必要なし。

2. Learning Story:家族や先生と一緒に、子供たちが体験した出来事をストーリー仕立てで記録する。写真を使う。子供・先生・家族が言ったことをストーリーの中に入れたり、周囲の状況を説明したりして、臨場感を持たせるのがコツ。

3. Jotting : 現在形・現在進行形で記録。その場で何が起きたか忘れないように1、2文でさっとメモをしておき、あとで週案を練るときに使ったり、AnecdoteやLearning Storyを書くときの材料として使ったりできる。

オブザベーションの例(Anecdote)

イメージがわきやすいように、オブザベーションの例をあげてみたいと思います。
 
2020年10月1日(木)午前9:15 観察者:レイチェル 場所:外の遊び場
子供:クリス(2才)、チャーリー(2.3才)
 
今日の朝センターへやってきたクリスは、お母さんとバイバイする時に少し泣いてしまったけれど、チャーリーをみた瞬間に泣きやんで、その後すぐにお気に入りのすべり台で一緒に遊びはじめた。2人はすべり台の上まで競争して、すべりおりる時は両手を上げて「 Weeee!!」といいながら地面にタッチダウンした。これを何回か繰り返したあと、次はボールを転がして一緒に遊びはじめた。
 
 
子供がどんなことを学んでいるか:
クリスとチャーリーは素晴らしい友情関係を築いており、一緒に遊ぶことで子供同士の関わり方を学んでいる。この2人の遊びは身体を動かすことが中心で、このような遊びは、健康な体と豊かな心を育み、子供たちの自立心や自尊心を育てる。(Social, Emotional, Physical)
 
これに基づいて次に何ができるか:
クリスとチャーリーの体を動かすことへの興味を活用して、探し物ゲームを提案してみる。数字やアルファベットカード、動物のおもちゃなどを部屋に隠して、それを見つけるときに、該当する言葉、色、数字、文字などを一緒に言って楽しむことができる。言語能力、文字や数字を実生活の中で使う能力を伸ばすことが目的。(Language, Literacy & Numeracy)


まとめ

このようにオブザベーションでは、子供の6つの成長項目をバランスよく発達させ、子供が現在どんなことを学んでいるのか、他の先生や家族にわかりやすく説明し、その学びをどのようにサポートして伸ばしていけるのかを考えるために非常に有効です。
 
週案を作るときには、子供たちが興味のあることを中心にするように心がけると、子供たちを楽しませながらスムーズに学ぶ機会を与えることができます。子供たちは毎日メキメキ成長して、昨日できなかったことが次の日にはできるようになっていきます。
 
その成長を見ることは、私たちの喜びであり「もっと子供たちが成長できるカリキュラムを作ろう!」と言うモチベーションになります。このような相乗効果で、子供たちの能力もどんどん向上し、新しいことに挑戦できるようになっていくのです。
 
保護者に子供の成長について話すとき、子供の能力を見きわめるときなど、様々な場面で使うことができるオブザベーション。ある程度の期間記録し続けていると、子供の成長が人目見てわかるようになるのでとても重宝します。
 
オブザベーションをもとに、年度末(12月末)には、子供一人一人の成長を記録したポートフォリオを完成させ、この一年で学んだことを家族と共有します。
 
 
文/大森 真帆(シドニー保育留学サポート)

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