2020.08.16

チャイルドケアの様子

保育のカリキュラムの作り方

オーストラリアの保育の大きな特徴の一つとして、「子供たちの興味や能力に基づいたカリキュラム作成」があります。毎週ルームリーダーや担当の先生たちがアイディアを寄せ集めて次週のプランを練ります。
今回は、オーストラリアのカリキュラム(保育計画)についてみていきたいと思います。


カリキュラムはどのように作っているの?

まず、少しわかりやすいように、実際にあった例をお話しします。
 
4歳児クラスの女の子仲良し3人組は、ネコが大好きで、毎日ネコの物真似をして遊んでいました。そして毎回先生たちに、「ネコの絵を描いて!」とおねだりしていました。それにいち早く気づいたルームリーダーは、ネコを描くアクティビティを、次週プランに組み込みました。
 
次の週、ルームリーダーは子供たちが自分でネコの絵を描くために必要なもの、カラフルな絵具や画用紙(三角の耳・4本の足・尻尾など)、Googly Eyes(動く目)のパーツを並べて準備し、クラスを集めた朝のグループタイムでやり方を紹介しました。クラスの大半がこのアクティビティに興味を示し、子供たちがそれぞれ絵具の色(ネコの色)を選んで、耳・足・尻尾・目のパーツをくっつけてオリジナルの猫を作りました。

この例のように、クラスメイトの興味があるものは、他の子供たちも興味を示す確率が高いのです。そして相手の意見を受け入れて尊重するという、社会でとても大切なことも学ぶことができます。
 
今回はArt & Craft(図画工作)アクティビティの例を挙げましたが、外遊びやストーリータイム、歌や踊りの時間などにも、子供たちの意見や興味を盛り込むことができます。このメリットとして、先生主体よりも、子供主体の方が子供たちも興味を示し、アクティビティ全体に活気が出るのと、「やらされている」感を取り払う事で、結果的に子供たちが有意義に学ぶことができるのです。
 
子供が何に興味を持っているのか、幼児クラスではわかりにくいと感じるかもしれませんが、実はそんなことはありません。赤ちゃんたちと一緒に過ごしているうちに、どんなことに食いついてくるのか、どんなことに笑ってくれるのかが、だんだんわかるようになってきます。そして子供たちの興味や能力はメキメキ向上し、プレスクール(3〜5歳)にもなってくると、少し高度なこともできるようになってきます。


効率の良いカリキュラムの作り方とは?

様々な保育園のクラスを見てみると、カリキュラムのベースみたいなものを先に作っておいて、そこに子供たちの興味やその週のテーマなどを加えて調整すれば、毎週0から作り上げなくて良くて、効率が良い!ということです。
 
1週間のカリキュラムのベースは、

  • 歌やダンス(Nursery Rhymes、Wiggles、Play schoolが幼児に人気)
  • 外遊び(集団ゲーム・障害物レースなど)
  • 図画工作(絵具・色鉛筆・画用紙・折り紙・ハサミなど)
  • ストーリータイム(本を読んだり、お話を作ったり)
  • アルファベットや数(基本的に歌や本で学んだり、点線をなぞったりします)
  • クッキング(クッキー・トーストピザ・フェアリーブレッドなどが人気)
  • 手作り粘土 (Play dough):小麦粉・塩・お湯・食紅・電子レンジなどを使ってオリジナルレシピで作れます。
  • サイエンス実験(スライム・ソーダを使った火山がプレスクールに人気)

 
これはかなり大雑把ではありますが、要するに年齢・興味によって構成を考える、そして1日のクラス流れを把握してそこにアクティビティを臨機応変に組み込んでいくことがとても重要になります。
 
カリキュラムのベースがあることで、毎日の基本ルーティーンが整い、万が一子供が興味を示さなかったり、落ち着きがなくなってきた時(特に午後)に子供たちの状況に応じてアクティビティを変更することもできます。朝や夕方には自由時間があるセンターも多くあるので、子供たちが自由に遊びを選ぶことができるよう、部屋のセッティングもしています。

今回はカリキュラムの作り方についてお話ししました。
 
子供たちの成長を見守り、子供たちの特性を生かしたカリキュラムを組んでいくことが可能になるように、カリキュラム作成とは別で”Observation”というものが存在します。
これはかなり奥が深く、少し長くなってしまうので、また別の記事でお話ししますね!
 
 
文/大森 真帆(シドニー保育留学サポート)

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